大学院で学ぶに当たりバランス感覚を養ってほしいと思います。ここでバランス感覚とは"個"あるいは"私"と"社会" あるいは"公"を常に意識した感覚をさします。例えば、個人的な興味と能力で学び研究を行う一方、社会がそのよう な環境を与えてくれているということを意識することであり、責任を感じることであります。学生さんには、 東京大学という最も恵まれた環境を享受することの喜びと責任を常に意識してほしいと思います。学生さんに 是非読んでほしいのは、塩野七生さんの「ローマ人の物語」です。パクス・ロマーナは何故なったのか。 物性研究所は全国共同利用研究所であり、国際的な研究所でもあります。多くの他機関や外国の研究者・ PD・院生に出会え、研究環境ばかりでなく幅広い人間関係を構築する場としても恵まれた環境にあります。 "私"を大事にしながら"公"に何かをなすという気概に燃えた学生さんを歓迎します。