Superconducting β-vanadium bronzes under highpressure

高圧下での超伝導〜β-バナジウムブロンズ

 

βバナジウムブロンズは同形の結晶構造をとる一連の物質群である。これらは例外なくb軸方向への1次元伝導体である。但しその基底状態は様々で、特にバナジウム酸化物で広く見られる、電荷秩序型の金属絶縁体転移を示す物質もある。本研究は、その秩序相を圧力によって潰した処の、いわゆる量子臨界点近傍での、異常を観測する目的で行われた。

 

 

βバナジウムブロンズの電荷秩序型の金属絶縁体転移と秩序構造のモデル。X線回折、異常X線散乱、中性子回折実験による。

キュービックアンビル型高圧発生装置を用いた一定圧力下電気伝導度測定。電荷秩序温度Tco が圧力の増加と伴に低温側にシフトしていることが分かる。更に 7GPa(7万気圧)付近で、超伝導転移による抵抗率の減少が観測される。超伝導は交流対磁率の測定でも確認した。これらの測定の結果を、温度ー圧力相図に纏めると下図のようになる。この相図から、電荷秩序相と超伝導相が競合していることがわかる。以下の異常な超伝導は圧力やキャリア濃度、磁場等熱力学変数に対して超伝導と何らかの秩序相が競合していることが知られている。銅酸化物高温超伝導体では、キャリア密度で、反強磁性相と超伝導相が競合し、有機物の場合、圧力で、SDW 相と、重い電子系の場合も、圧力で磁気秩序相と超伝導相が競合している。これらの特異な超伝導相の共通の特徴と言える。